上野 一樹 さん(60代)
キャリアチェンジ
2024年キャリアコンサルタント資格合格
資格取得前:メーカーにて設計・開発業務、マネジメント職
資格取得後:定年を機に人事部にてシニア活躍推進と併行し、社内キャリアコンサルタントとして勤務
定年を契機にコーポレート人事へ、
新たな学びから実践が生まれ、次の挑戦に導かれる
畑違いの分野へ向けて、キャリア課題解決への思いから学びのスタート
30年間の開発・設計業務を経て、私は7年間、開発部門の人事業務を担当してきました。その中で、特にシニア社員の活躍を促進する必要性を感じ、会社の方針としてキャリアカウンセリングを活用していこうという動きがありました。
定年を迎えるタイミングでキャリアコンサルタントの資格取得を勧められ、私自身も開発人材のキャリアに関して課題を感じていたため、これを全社的に広げることができる貴重な機会だと感じて引き受けました。しかし、養成講習を受ける中で直面したのは、毎週土曜日のリアルタイム講習というハードルと、学ぶ内容が今までの経験と大きく異なることでした。
キャリアやキャリアコンサルタントとは全く新しい、畑違いの分野で、最初は自分の年齢で本当に今から習得出来るのか、戸惑いと不安を抱えながらのスタートが正直なところでした。
実務で実感したキャリアコンサルタントの役割と意義
養成講習で学んだ専門的な知識や理論、特にキャリアコンサルタントの役割の意味は、実務に入ってから初めて実感することができました。まず、キャリアコンサルティングを実施するに先立ち、各部署からの協力を得る段階では、「キャリアコンサルティングの社会的意義」や「役割の理解」で学んだことが引き出しとなって、社内の理解を得ることができました。また、社内における相談に対する抵抗感については、キャリアコンサルタントの倫理規定に基づき守秘義務について説明し、協力を得ることができました。
企業内での相談対応には、キャリアコンサルタント一人では対応できないことも多く、他の部署や関連組織との連携していく力が重要です。今後は、より密に連携し、広範囲な支援に繋げていきたいと考えています。そして、最終的にはセルフキャリアドックを企業内で実施することを目指し、この資格を最大限に活用していきたいと思っています。
理論や専門知識は実践の土台になっていく
養成講習では、キャリア理論やカウンセリング理論も多く学びました。
当時は、試験対策のための理論と割り切っていましたが、実際に面談を進める中で、その理論が現場でどのように役立つのか、どの理論が効果的に使えるのかを実感しました。さらに、キャリアコンサルタントとして実務に入っていくと、法律や組織の体制・仕組み、厚生労働省の指針など、学んだ内容が実際に必要であり、非常に役立ちます。
このように、理論が実践で活用される場面に遭遇することで、その重要性の実感を深めています。また、実務では、専門性に弱い部分もあると感じることもあります。そのために、自分で学ぶべき領域と他の専門家に協力してもらうべき領域を明確に分けて整理すること、それをトータルで強化していくことが大切だと感じます。養成講習は、まさにそのための土台作りであったと振り返っています。
セルフ・キャリアドックを作り上げていくことを目標に
定年後、開発部門から全く異なるコーポレート人事部門に移るという挑戦、そしてキャリアコンサルタント資格を取得するための勉強は、60歳を迎えてからの大きな挑戦でした。
実際に資格を取得できたことは、自分にとって大きな自信となり、周囲にもその姿を見せることができました。まだまだ自分にはできることがあると感じられ、これからの活動に対する意欲が湧いてきました。
今後はさらに必要な知識や能力を学び、経験を積むことで、キャリア形成やリスキリングの支援を行っていきたいと思います。また、社内でキャリアコンサルティングができる仲間を増やしていき、各領域に1人ずつ配置することで、より多くの社員をサポートしていきたいと考えています。そのために、セルフ・キャリアドックの仕組みを作り上げていくことが今後の目標です。
現在、2025年度のスタートに向けて準備を進めており、キャリア形成・リスキリング支援センターと打ち合わせを行い、導入に向けた相談も進めています。